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リュウくんのこと(前回からの続き)

kage

2018/04/03 (Tue)

リュウくんの第一回目の訓練日はリュウくんはお母さんのお膝の上、
警戒心の強い彼と私は目を合わさないようにしてお母さんに問診をしました。

さあ、どんな作戦で彼と仲良くなっていくか・・・

以前の私は重度自閉症の子どもさんが来られると、まずは家具のように存在しようと心に
決めていました。人に対する親和性の薄い子にいきなり近づいたり(いくら姿勢を低くして
いても)、話しかけたり(いくら優しい声でも)しても、すぐにすり抜けられてしまうのです。

だから、私は人ではなく、物として慣れてもらうことから始めていました。

しかしながら、リュウくんは対人的な親和性が薄いというよりむしろ、
対人的な恐怖を持っています。
初回お会いした時に比べ、私の方に随分と視線を送ってくれるようになってはいるのですが。

「私、テレビになってみようかな・・・」

さて、一週間後、やっぱり、リュウくんはお母さんの膝の上、
私は子ども用の机の前に座り、ミニカーを持って「ブッブー」と言いながら動かし始めました。

リュウくんは車に視線を送っています。私は周辺視野で彼の様子を確認します。
人には慣れていないけれど、自分のことを見たり話しかけたりしないテレビには
随分慣れていたわけだし・・・

「リュウくんも遊んできなよ。」とお母さん。
その一言でリュウくん、お母さんにしがみついてしまいました。

私は、リュウくんにもお母さんにも視線を向けないままで、
「お母さんは声を出さないでくださーい。」

「オッと、赤信号だ。キッキー(ブレーキ音のつもり)。」
「あっ、青になった。しゅっぱーつ!」

しばらく続けているうちにリュウくんんはお母さんの膝から降りてこちらを見ています。

「次は、電車にしようかな」
「ガタン ゴトン ガタン ゴトン」

リュウくんは段々私のそばに寄ってきました。そして何も言わず、勝手に私の電車を取って
机の上で走らせました。
私は「ガタン ゴトン ガタン ゴトン」と電車の音を演出しました。

(人との物の受け渡しの意識はまだない・・・)

こうして訓練時間が過ぎ、帰り際にお母さんが言われました。

「リュウが家族以外の人に近づいていくのを初めてみました。ビックリです。」

「私、今日は人ではなかったですから (笑) 」
「えっ?」
「今日は話しかけもしなかったし、視線も向けませんでした。リュウくんが警戒しないようにね。」


次の訓練日にはリュウくんはすんなり近づいて来て私が持っている電車をとろうとしました。

私は電車をギュッと握って離しません。
リュウくんは私に視線を向けることなく、何とかそれをもぎ取ろうとしました。

「電車がいるんだね。」そう言ってリュウくんの掌を上に向けその上に電車を載せました。
物の受け渡しを人としているという意識が無い段階で、ことばのやり取りができるわけが
ありません。やり取りの練習の始まりです。

今日は、乗り物の型はめパズルを出してみました。
電車のピースをこれ要る?と訊きながらリュウくんの掌を上に向け載せました。

リュウくんはそれも走らせようとするので、
「ガタン ゴトン ガタン ゴトン、駅はここでーす。ここに入れてください。」
とピースがはまるくぼみを指差し、そこに導いていきました。

「バスはここに留まりますよー。ブッブー」指差している場所にバスを導いていきます。
「飛行機はここに着陸してください。ビューウン」

何とリュウくん私の指差すところをしっかり見ているではありませんか。

帰りのお母さん、「こんなに集中して遊べるのですね。」

「私の指先を見てくれました。お母さん、テレビを消していてくれたおかげです。
 自閉症の子どもさんはなかなか人の指先を見ることはできないのですよ。」



                               ― 続  く ー








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